4-2.最低限の相続割合を定めた遺留分
一部の相続人には最低限相続できる割合が定められています。これを遺留分といいます。
遺言書があれば、法定相続分ではなく遺言書に書かれたとおりに遺産を分けます。仮に、遺産のすべてを第三者に譲り渡すと遺言書に書かれていれば、相続人は遺産を受け取ることができなくなります。
遺留分として最低限相続できる割合を定めることで、財産を形成するまでの家族の功労に配慮して家族の生活を保障します。相続した遺産が遺留分より少ない場合は、他の人から取り戻すことができます。
遺留分が認められる人と遺留分の割合
遺留分は次の人に認められています。
被相続人の配偶者
被相続人の子(代襲相続人も含む)
被相続人に子がいない場合は被相続人の直系尊属(父母または祖父母)
法定相続人であっても、被相続人の兄弟姉妹に遺留分は認められません。
遺留分は全体で遺産の1/2と定められています(相続人が直系尊属のみの場合は遺産の1/3)。全体の遺留分を遺留分がある人の法定相続分で分けることで、それぞれの遺留分割合が決まります。
遺留分に足りない部分は他の人から取り戻せる
実際に相続した遺産が遺留分より少ない場合は、遺留分に達するまでの部分を他の人から取り戻すことができます。これを遺留分減殺請求権といいます。
たとえば、遺産のすべてを第三者に譲り渡すと遺言に書かれていたために遺産を相続できなかった相続人は、遺産を受け取った第三者から遺留分にあたる財産を取り戻すことができます。
4-3.特別受益と寄与分
被相続人から生前に多額の生前贈与を受けた相続人や、被相続人に多大な貢献をした相続人がいる場合は、事情を考慮して相続割合を調整します。
特別受益
自宅の購入や留学費用の援助など、被相続人から生前に多額の贈与を受けた相続人がいる場合は、その贈与を特別受益として遺産に加えてから相続人どうしで分けます。
特別受益がある場合の遺産の分け方は、下の図のようになります。多額の生前贈与は遺産の前渡しという側面があり、相続人どうしで公平に遺産を分けられるよう調整します。
寄与分
事業を手伝ったり療養看護をしたり被相続人に多大な貢献をした相続人には、寄与分として相続分に上乗せすることが認められています。寄与分は、現在の法律では相続人にのみ認められ、長男の妻など相続人でない人には認められません。
寄与分がある場合の遺産の分け方は、下の図のようになります。被相続人に貢献した相続人と他の相続人が均等に相続するのは不公平であるため、被相続人に貢献した相続人の相続分が多くなるように調整します。
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