相続登記が行われないのは、相続人の間で遺産分割協議がなかなか進まず、相続内容の詳細が決まらないから、ということが理由になるケースも多々あります。
分割協議が継続している間は相続登記もなされないため、協議が長引くことで相続人が亡くなってしまい、さらに新たな相続人が生まれ…と事態がどんどんややこしくなるという事例もよく見かけることでした。
このような事態を防ぐために、「遺産相続の分割協議期間は10年間を限度とする」という内容も、今回の改正に盛り込まれています。
10年経っても遺産分割協議がまとまらない場合は、「法定相続に従った割合で分割する」ことになったのです。
10年とは長いようですが、協議がこれだけ長引いてもまとまらない事例が多くあったからこそ、今回このような制度が定められたわけです。
もし法定相続通りの割合ではない分割を望んでいる相続人がいる場合は、特に協議を急ぐ必要があるといえます。
「相続土地国庫帰属法」で国に引き取ってもらうことが可能に
相続したはいいけれど、自分で住むこともできず売却することもできない、使い道のめどの立たない不要な土地を、国に引き取ってもらって公共用地に転用されるという制度です。
不要な土地を所有し続けることの負担が大きく、手放したいけれど、そう簡単に売却できない事情がある人にとっての救済措置ともいえるものです。
資産価値に乏しい土地は、相続して登記をしても固定資産税がかかるだけだからと、登記のみならず相続自体にも消極的という人が多かったはずなので、そのような人にとってもありがたい制度といえるでしょう。
しかし、どんな土地でも対象となるわけではなく、要件がいくつも存在します。
まず、建物がある土地は引き取ってもらえません。解体して更地にする必要があります。
担保権や使用・収益を目的とする権利が設定されている土地も対象外です。
特定有害物質に汚染されている土地、境界線が明らかでない土地といったものも不可能となっています。
また、要件を満たして所有権を放棄しても、10年分の管理費用を国に支払わらなければなりません。
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