1.「相続」とは?
相続とは、人が死亡した時、その死亡した者(被相続人)がもつ財産的な権利・義務を、法律や遺言で他の人間が承継することを言います。
この承継(相続)は、被相続人の死亡のみによって発生するもので、特段手続きをする必要はありません。
なお、亡くなった人のことを、「被相続人」と言い、遺産を引継ぐ(相続する)人を「相続人」と言います。
2.相続の開始時期と相続の対象になるもの
この章では、相続がいつ始まってどのようなものが相続の対象になるかについてお伝えします。ポイントは次の3つです。
相続は被相続人が死亡した時点で始まる
借入金や保証債務などマイナスの財産も相続の対象になる
本人に認められた資格・技能、年金受給権などは相続の対象にならない
2-1.相続は被相続人の死亡時点で始まる
相続は被相続人(亡くなった人)が死亡した時点で始まります。
被相続人が亡くなった直後は、誰がどの遺産を相続するかが決まっていないことがほとんどです。四十九日の法要が終わるなど、少し間を置いてから遺産分けの話し合いを始めることが多いでしょう。
被相続人が亡くなってから誰がどの遺産を相続するかが決まるまでは、法律上は、相続人が全員で遺産を共有していることになります。この間は、遺産は現預金であっても不動産であっても相続人全員の共有財産であり、預金の引き出しや不動産の売却など誰かが遺産を勝手に処分することは許されません。
誰がどの遺産を相続するかが決まれば、遺産は被相続人が死亡した時点にさかのぼってそれぞれの相続人の固有財産になります。
2-2.相続の対象になるもの
相続の対象になるものは、被相続人が死亡時に保有していたものです。現預金や不動産など形のあるプラスの財産だけではなく、次のようなものも相続の対象になります。
借地権や著作権などの権利
借入金や保証債務などマイナスの財産
見落とされがちですが、借入金や保証債務などマイナスの財産も相続の対象になります。被相続人に借金があれば、相続人がかわりに返済しなければなりません。被相続人が第三者の借金の連帯保証人になっていたのであれば、相続人が返済義務を負うこともあります。
一方、被相続人自身の資格・技能や、年金受給権などの権利は相続の対象にはなりません。これらの権利は被相続人にだけ認められるものであり、相続人が引き継ぐ性質のものではないからです。
相続の対象になるもの
【プラス財産】
現預金・不動産などの財産、
借地権・著作権などの権利【マイナス財産】
借入金・保証債務など
相続の対象にならないもの
被相続人の一身に専属していたもの
(資格・技能、年金受給権など)
保険金は相続の対象ではない
被相続人が死亡したことで支払われる保険金は、被相続人が死亡時に保有していたものではないため、相続の対象ではありません。
保険金は受取人の固有財産であり、他の相続人に分ける義務はありません。たとえば、被相続人が自身に生命保険をかけていて妻を保険金受取人にしていた場合は、保険金はすべて妻のものとなります。
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