Q
新築マンションの購入を決めて売買契約を締結しましたが、突然転勤が決まったので、手付金の放棄による契約解除を申し入れました。しかし、不動産会社に「工事が進んでいるので手付解除には応じられない。違約金を支払ってもらう」と言われました。
A
売り主が契約の履行に着手するまでは、買い主は手付金放棄で契約を解除できます。
不動産会社が売り主である不動産売買においては、手付金は「解約手付」とされ、売り主である不動産会社が契約の履行に着手する前であれば、買い主は手付金を放棄することで契約を解除できます。
したがって、手付けによる解除をする場合には、その時点で相手方が「契約の履行に着手しているかどうか」が問題となります。
最高裁判所の判例に基づけば、例えば、
買い主の希望する建物を建てるために建築材料を発注したときや建築工事に着手したとき
分譲マンションで買い主の希望する間取り変更工事に着手したとき
などは履行の着手に該当すると考えられます。
一方で、事例のような分譲マンションや、大規模な分譲住宅の場合で、売り主が当初の建築計画に基づいて工事に着手した場合などは、履行の着手には該当しないと考えられます。
この事例では、不動産会社が履行に着手する前であると考えられるため、契約を解除できる可能性が高いと考えられますが、「契約の履行に着手しているかどうか」については、事案ごとに個別に判断する必要があります。履行の着手があると判断される場合は、手付けによる解除が認められません。契約違反による解除となった場合は、契約書に定める違約金を支払う必要が生じます。
0コメント